おにの手帖

手仕事、田舎暮らし。
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はちみつレモンはお湯割りで。



夏の朝、ふと思った。

こうして美味しくご飯が食べられるのもあなたのお陰です。




DSC_4678.jpg



ばあちゃん。

母親の代わりに小学生から育ててくれた祖母。

彼女は佐賀の人で終戦時に6人の子供を連れて満州から引き揚げてきた

まさに「がばいばあちゃん」であった。


当時3歳で記憶の薄い父には

「日本人の子は頭がいいからと中国人から何度もお前をくれと言われたけど、

かあちゃんは頑張って連れて帰った。かあちゃんのお陰でお前は残留にならなかったんだぞ。」

と言い、

わたしと弟には「ばあちゃんがお父さんを置いてきていたら、お前たちは中国人になっていた。」

(いや、お父さんが日本に帰っていないのなら、元々わたしたちは生まれないのでは・・・)と

わかるようなわからないような説教を何度も繰り返しては、

我が子と孫をとても辟易させた。


ソ連と呼ばれていた間もずっとロシアと言い続け、

ソ連兵が満州で自分たちに行った行為について

「ロシ公がいきなり家にやって来て腕時計も着物も大事なものは全部持って行った」と

蔑視用語を炸裂させつつ度々怒っていたので、

子供ながらにソ連という国はえらく悪い人たちの集まりのように思った。

戦争にどちらが良い悪いというのは無いのだと知るまでは・・・。


中学生になり、

ちょっとレースが付いたり明るいヒラヒラした服を着て出かけようとすると、

「満州じゃ女の子は皆丸坊主にして男の子の格好をさせて、屋根裏部屋に隠しておいたんだ!

そんなチャラチャラした格好をしていたらすぐにロシ公にさらわれたんだぞ!!」と

また腕時計のことを思い出したのか鬼のような形相でまくしたてるので、

大人しい方ではありつつも普通に大人の階段を昇り始めていたわたしは

「それならわたしは丸坊主にしてズボンを履き、

屋根裏に潜んでいなければならないのか。この現代に!」

と、プリプリ怒りながらチャラチャラ出かけた。


満州からの引き揚げ船の話も多かった。

食料も水も乏しい船の上で小さな子ども、病人、お年寄りが次々に亡くなり

亡骸はそのまま海へ流され、日本に帰りつけなかった人が大勢いたと。

彼女曰くそれでも我が子を1人も失わずに戻ってこられたのは

ただただ必死に梅干しとはちみつを与え続けたからだと

毎朝はちみつをお湯に溶き、レモンを絞ったはちみつレモンを飲ませられた。

実際祖母はその定説に基づき、

手術が必要だと言われていた父の胃潰瘍を根性で治してしまったので

余計はちみつレモン教を盲信した。


大人になって戦争の悲惨さ、生きていくことの大変さを少しずつ理解できるようになった頃には

祖母の記憶は曖昧になった。

もっともっとちゃんと祖母の話を聞いておかなければ、と気づいた時には遅かった。

病院へ見舞いに行ったわたしに

「いつもありがとね、お宅はどなた?」と言った。


ニコニコとただ微笑み、腕時計も丸坊主もはちみつのことも全て忘れ、

何もかもを真っさらにして天国に行った。

戦争で死んだおじいちゃんの元へ。


今年で戦後64年。

戦争のことは何も知らない。偉そうに語り継ぐこともできない世代のわたし。

語り継がねばならないわずかな話も右から左へ随分流してしまった。


ただ、うちのがばいばあちゃんは時折現れる。



ワニさん(夫)の具合が悪い時、

はちみつレモンを自信満々に差し出しては

「これば飲みんしゃい、効くけん!」と言ってしまうわたしの中に。






-2 Comments

スーママ says..."がばいばあちゃんいいですね!"
まさにがばいばあちゃんですね。
はちみつレモン試してみますか!
Sueさんよりはるか年上の私でさえ戦争経験はありません。でも両親や祖父母から聞いた悲しい不幸な体験談を語り継いで行事こそ私たちにできる唯一の事かもしれませんね。
秋には四人目の孫が生まれる予定です。
この子供たちが戦争のない平和な社会で暮して行ける事を祈るばかりです。
余談ですが姪のayaco無事に女児を出産致しました。母子とも元気です。
2009.08.11 18:10 | URL | #- [edit]
Sue says...""
スーママさん。

そうですか!ayacoさん、二児のママになられましたか♪
夏の暑い中大変だったことと思いますが、
本当におめでとうございます。

ばあちゃんの話を見てきたことのように話すくらいしかできなくて、
それもほんの極々わずか。
いつかこの世に「聞いただけの戦争」しか知らない人ばかりになっても
忘れてしまうよりはいいですよね。

スーママさんのお孫さんたちやayacoさんの子供さんたちが
ずっと幸せに暮らしていけるよう
わたしたちの出来ることを、1つずつやっていかないと・・・と思います。
2009.08.11 21:11 | URL | #aE8nS3mY [edit]

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